薬局や歯医者さんでハミガキ(歯磨き粉)を選ぶとき、
このように感じたことはありませんか?
もしあなたが
「家電を買うぞ!」
と決心してお店に向かったとして、
店頭に似たようなものがいくつかあった場合
見た目や機能面でどんな違いがあるかを必ず確認
しますよね。
ハミガキ(歯磨き粉)を選ぶときにも同じようなことが
言えるのではないでしょうか。
せっかく色々な成分が入っていたとしても、
どの成分が何のために使われているのかがわからないと
ハミガキ(歯磨き粉)を選ぶことって実はとても難しいですよね。
ですので今回、ハミガキ(歯磨き粉)の裏に記載されている
成分を色々と調べてまとめてみました。
この記事を読んでわかること
- ハミガキ(歯磨き粉)ってどんな成分からできているのか
- ハミガキ(歯磨き粉)の成分にはどんな役割があるか
ハミガキ(歯磨き粉)に含まれる成分
ハミガキ(歯磨き粉)に含まれる成分は
大きく分類すると次のように分かれます。
- 湿潤剤
- 清掃剤
- 清掃助剤
- 粘結剤
- 粘度調整剤
- 発泡剤
- 発泡助剤
- 薬用成分
- 助剤
- 香味剤
- 浸透剤
- 清涼剤
- 着色剤
- 安定剤
- 保存剤
- 可溶化剤
- pH調整剤
- コーティング剤
意外と多いですね(汗)
でも実は、上記のラインを引いてないところは
ハミガキ(歯磨き粉)の基本的な成分で、
青いラインを引いたところが
ハミガキ(歯磨き粉)の個性といえる成分になります。
つまり、ハミガキ(歯磨き粉)がどんなタイプかを
知るためには
薬用成分や清掃剤の内容を見ればOKなんです。
けっこう簡単だと思いませんか?
では、次にそれぞれの分類にあてはまる成分の解説をしていきます。
※Naはナトリウムの略称です
湿潤剤
湿潤剤はハミガキ(歯磨き粉)に適度な湿度を与えるための成分です。
ソルビット液
ソルビトールという糖アルコールを用いた液体のことを言います。
糖という名の通り甘みがあり、
保湿剤や化粧品にも添加されています。
プロピレングリコール(PG)
グリコールに分類される有機化合物で、溶媒(物を溶かすためのベース)
として使用されます。
食品や医薬品にも使われています。
グリセリン
グリセリンはアルコールの一種に分類され、
植物や海藻類、動物の体内に含まれています。
医薬品や化粧品、食品添加物など、幅広く使用されています。
清掃剤
名前の通り、歯に付いた汚れを落とすための
成分が使用されています。
無水ケイ酸A
無水ケイ酸Aはライオン(株)が独自に開発した
成分で、無水ケイ酸から作られています。
通常は粘度調整剤であるの無水ケイ酸と違い、
清掃剤として用いられています。
ちなみに、無水ケイ酸Aを使用したハミガキ(歯磨き粉)は
下記の記事で解説しています。


清掃助剤
清掃剤の無水ケイ酸Aと合わせて使用することで
歯の汚れや着色を取り除き、
歯本来の白さを引き出すための成分です。
無水ピロリン酸Na
無水ピロリン酸Naは汚れと歯の間に浸透し
汚れを浮き上がらせ、歯本来の白さを
引き出す役割があります。
ポリリン酸Na
無水ピロリン酸Naと同じく、
歯の汚れや着色を浮き上がらせて
歯本来の白さを引き出す役割があります。
粘結剤
粘結剤は歯磨き粉の個体と液体の成分をを結合させることで
歯磨き粉に粘性(粘り気)を与える役割があります。
アルギン酸Na
アルギン酸Naは海藻から得られる物質で、
食品の増粘剤・ゲル化剤などとして
古くから利用されている添加物です。
ポリアクリル酸Na
ポリアクリル酸Naは吸水性のある物質で、
化粧品や食品添加物にも使用されています。
カラギーナン
カラギーナンは紅藻類から抽出されるで、
ゲル化剤、増粘剤、安定剤などに用いられます。
ヒドロキシエチルセルロース
ヒドロキシエチルセルロースは植物から抽出した
天然植物繊維(セルロース)から作られ、
化粧水や美容液にも用いられています。
カルボキシメチルセルロースNa
カルボキシメチルセルロースNaは粘度調整剤でも
解説していますが、状況によっては粘結剤として
使用されることがあります。
粘度調整剤
歯磨き粉の粘り気を調整するための成分です。
無水ケイ酸
主に二酸化ケイ素のことです。
吸水性が低いため、ファンデーションなどが湿気により固形化するのを防ぐ役割や、乳液の安定性を高めるためなどで利用されます。
キサンタンガム
キサンタンガムは トウモロコシなどのデンプン発酵させて
作られる多糖類「バイオガム」のひとつで、
化粧品や食品添加物として用いられています。
カルボキシメチルセルロースNa
カルボキシメチルセルロースNaは
天然植物繊維(セルロース)から作られる物質で、
食品添加物、化粧品、保水剤として幅広く用いられています。
発泡剤
発泡剤は泡を発生させることで歯磨き粉の成分を口の中に
広げ、汚れを洗浄するという役割があります。
POE硬化ヒマシ油
POE硬化ヒマシ油は天然のヒマシ油から作られる界面活性剤で、
乳化剤として多くの化粧品に用いられています。
ラウリル硫酸Na
ラウリル硫酸Naは高い洗浄力と脱脂性を持つ
界面活性剤です。
ヘアケア製品やスキンケア製品に用いられています。
ラウリル硫酸ナトリウムは毒性があるのでは?
という声もありますが、
こちらで記事にしているので気になる方は一度読んでみて下さい。


ラウロイルメチルタウリンNa
ラウロイルメチルタウリンNaは
ヤシ油脂肪酸とアミノ酸のタウリンからなる界面活性剤で、
化粧品やベビーシャンプーにも用いられています。
POEステアリルエーテル
POEステアリルエーテルは
POEセトステアリルエーテルとも記載される界面活性剤で、
スキンケア製品やヘアケア製品に用いられています。
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液は
両性イオン系界面活性剤の一種で、
髪や肌のコンディショナーに用いられています。
グリセリン脂肪酸エステル
グリセリン脂肪酸エステルは乳化剤として使用されますが、
マーガリンの水滴分離防止など食品添加物としても用いられています。
発泡助剤
単体ではあまり使われず、他の界面活性剤と
併用して使われる成分です。
アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
界面活性剤の一種ですが、作用がマイルドで他の洗浄剤の
刺激性を抑制する働きなどがあります。
シャンプーなどの洗浄剤として用いられています。
薬用成分
薬用成分はハミガキ(歯磨き粉)の成分の主役と言って良いと思います。
- 虫歯を予防する成分
- 歯周病を予防する成分
- 知覚過敏を抑える成分
といったものが多く扱われており、
入っている薬用成分によって歯磨き粉の特徴が様々に変化します。
薬用成分(むし歯予防編)
フッ化Na・モノフルオロリン酸Na(フッ素)
フッ化Na・モノフルオロリン酸Naは
いわゆるフッ化物と呼ばれ、
虫歯の予防に幅広く用いられています。
フッ化物に関しては別のページにて詳しく解説する予定です。
薬用成分(歯周病予防編)
酢酸トコフェロール(ビタミンE)
酢酸トコフェロールはビタミンE誘導体(ビタミンEの改良版)で、
血行を良くする作用があります。
化粧品や医薬品として用いられています。
ラウロイルサルコシンNa
ラウロイルサルコシンNaは
強い殺菌成分と洗浄力を持ち、
口の中の殺菌を目的に使用されています。
塩化セチルピリジニウム(CPC)
塩化セチルピリジニウム(CPC)は
強い殺菌成分を持ち、口の中を漂っている
細菌の殺菌を目的として使用されています。
ただし、歯垢(プラーク)の中の細菌は
バイオフィルムという壁に守られていて
あまり効果がありません。
イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
イソプロピルメチルフェノール(IPMP)は
殺菌効果の高い成分で、口の中の細菌の
の殺菌を目的に使用されています。
またバイオフィルムにも浸透して
殺菌効果を示します。
ハミガキ(歯磨き粉)以外には薬用石けんや
医薬品として用いられています。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は炎症を抑える成分で、
歯ぐきの炎症や出血を抑える目的で
使用されています。
ハミガキ(歯磨き粉)以外にも医薬品として
幅広く用いられています。
β‐グリチルレチン酸
β‐グリチルレチン酸は炎症を抑える成分で、
歯ぐきの炎症を抑えるという目的で
用いられています。
ハミガキ(歯磨き粉)以外では、シャンプーや
洗顔料に用いられています。
オウバクエキス
オウバクエキスはキハダの樹皮から
得られる成分で、炎症を抑える役割と
破骨細胞(骨を溶かす細胞)の働きを
抑える役割があります。
胃腸薬などの医薬品にも用いられています。
薬用成分(知覚過敏予防編)
硝酸カリウム
硝酸カリウムは、歯の知覚過敏を
抑える役割として使用されています。
ハミガキ(歯磨き粉)以外には、食品添加物
としても用いられています。
乳酸アルミニウム
乳酸アルミニウムも硝酸カリウムと同じく
知覚過敏を抑える役割があります。
硝酸カリウムと異なる方法で知覚過敏を
抑えるため、硝酸カリウムと併用されている
ハミガキ(歯磨き粉)も存在します。
薬用成分(歯の汚れを除去する編)
ポリエチレングリコール8(PEG-8)
ポリエチレングリコール8は歯の表面に付いた
着色や汚れを浮かせるという役割から、
歯本来の白さを取り戻す目的で使用されています。
助剤
ハミガキ(歯磨き粉)のある成分を補助を
おこなってくれる成分です。
下記の2種類の助剤はライオンで開発された新成分で
詳しくは別のページで解説する予定です。
グリセロリン酸カルシウム
グリセロリン酸カルシウムはフッ化物と併用
することで耐酸性が向上すると言われています。
粉ミルク、医薬品などのカルシウム強化剤としても
用いられています。
ピロリン酸四カリウム
ピロリン酸四カリウムも、
グリセロリン酸カルシウムと同じく
フッ化物と併用することで
耐酸性が向上すると言われています。
ハミガキの他には、食品添加物として用いられています。
ちなみに、グリセロリン酸カルシウムと
ピロリン酸ナトリウムが配合された
ハミガキ(歯磨き粉)2種類は下にリンクしておきます。
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香味剤
香味剤は、歯磨き粉に香味を付ける役割があります。
香料
ハミガキ(歯磨き粉)に香りをつけるための成分です。
様々な香料を組み合わせて用いられています。
サッカリンNa
サッカリンNaは人工甘味料です。
ハミガキ(歯磨き粉)に甘味を付ける目的で使用され、
他には食品添加物としても用いられています。
キシリトール
キシリトールは果物や野菜にも含まれる
糖アルコールの一緒です。
ハミガキ(歯磨き粉)に甘味を付けたり、
口の中の細菌が歯垢(プラーク)を
作る働きを部分的に抑える役割として
用いられています。
浸透剤
ハミガキ(歯磨き粉)の成分を口の中で
浸透させやすくするための成分です。
ポリエチレングリコール4000(PEG4000)
ポリエチレングリコール4000(PEG4000)は
ハミガキ(歯磨き粉)の成分のイソプロピルメチルフェノール
(IPMP)の浸透を促進する役割で用いられています。
清涼剤
清涼剤は歯磨き粉を使ったときに
爽快感を付けるために使用されます。
メントール
メントールはアルコールの一種で、
ミントなどに含まれています。
歯磨き後の爽快感を付けるために
用いられています。
着色剤
歯磨き粉に色を付けるための材料です。
安定剤
ハミガキ(歯磨き粉)をペースト状で
扱いやすい状態として維持するために使用されています。
酸化チタン
酸化チタンは被覆力や着色力にすぐれた白色材料で、
ハミガキ(歯磨き粉)のペーストが白いのは酸化チタンが
使用されている場合が多いからです。
保存剤
保存剤は歯磨き粉の変性や変質を防ぐために
使用される材料です。
パラベン
パラベンはパラオキシン安息香酸エステルの略称で、
ハミガキ(歯磨き粉)を長持ちさせる役割があります。
塩化セチルピリジニウム(CPC)
塩化セチルピリジニウムは薬用成分の欄で
説明していますが、その殺菌成分のため
保存剤としての役割もあります。
安息香酸Na
安息香酸Naはカビや細菌が増殖するのを
防ぐための保存料として使用されています。
ハミガキ(歯磨き粉)の他に、食品添加物としても
用いられています。
pH調整剤
pH調整剤は歯磨き粉のpH(酸性やアルカリ性)の調整
に用いられます。
使用されている物は主に下記の成分です。
- 硫酸Na
- 水酸化Na
- クエン酸
- クエン酸Na
コーティング剤
ハミガキの成分が口の中や歯の表面に
なるべく長く留めるのを目的として
用いられている成分です。
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(カチオン化セルロース)
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドは
フッ化物と併用することで、口の中でフッ化物が
残留しやすくなる目的で使用されています。
DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液
DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液は
露出した象牙質表面のコラーゲンに薬用成分を
留める目的で使用されます。
さいごに
いかがだったでしょうか。
たくさんあるハミガキ(歯磨き粉)の成分も
基本的な構成成分 + 薬用成分
で、どのようなハミガキ(歯磨き粉)か
意外と簡単に把握することができます。
むし歯を予防したいのか
歯周病を予防したいのか
知覚過敏を予防したいのか
歯に付いた着色をきれいにしたいのか
ぜひ自分の目的に合ったハミガキ(歯磨き粉)を
選んでもらえればと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。